リフレイン

「俺の名前は矢上啓(やがみけい)だ。23歳」



「啓ね?あたしは二宮水樹!!ちなみに22歳♪」



「水樹か。綺麗な名前だな…俺とは大違いだ」



啓は凄く悲しそうな顔をした。



啓……?



「どうしたん?」



あたしはそんな啓の姿が気になって問い掛けた。



「あ、いや。別になんでもない」



啓はハッとした様にあたしから目を逸らした。



啓は…凄く優しい。
普通のマフィアだったら、わざわざ湿布を用意してくれたり体の心配なんかしてくれるわけがない。


彼には…マフィアでいなきゃいけない訳があるんじゃないかって思う。


「ねぇ啓……なんでマフィアなんかやってんの?」



あたしはどうしても気になって聞いてしまった。



すると啓は参ったように溜め息を吐き、あたしを見た。



「……まぁ…ちょっとした事情でね…。ここから逃げ出すことは出来ないんだ」



「逃げ出すことが…出来ない?」



あたしが質問を返すと、啓は頷いた。



「……ボスはさ…殺したんだ。俺の家族を」



啓は冷たい声でそう言った。



「家族……を…?」



あたしは恐る恐る聞き返す。



「あぁ…珍しいと思っただろ?日本人の俺がこんな所にいんの。」


「あぁ…うん。」



「香港マフィアのボスの下で働かねぇと、復讐が出来ないから…俺の大事なモノを奪ったアイツに」


啓は拳を握った。



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