リフレイン
「5年前のあの日…ボスの九条は俺の家族を殺した。……理由は俺の父親が九条にした多額な借金だった。九条とマフィアの奴等は毎日家に来て嫌がらせをした。そして俺の両親が金を滞納し続けた事を理由に……殺した。あっという間だったな」
「……………」
あたしは衝撃的すぎて声が出なかった。
啓のご両親も九条に殺された…
瑠樹也と一緒だ……。
「……啓は…無事だったんだね」
あたしは声が震えないように必死に耐えた。
あまりにも衝撃的な事実に、同じ思いをしている人がいたという事実に……。
「……俺もあの時、死のうとしたんだ」
「え?」
「自分で腹刺して、死のうとした」
啓は下を向いた。
「目の前で親殺されて…兄弟殺されて…なんか生きる意味が分からなくなってた。そんで気付いたら自分で自分の腹を刺してた」
「……………」
「大体さ、九条みてぇなヤツに金借りる俺の親もどうかと思うけどさ」
啓は虚しく笑った。
「啓……」
「だから俺はここから抜け出すことは出来ない。アイツをこの手で殺すまでは」