リフレイン

「よし、着いたぞ。」



戸田さんは、あたしのマンションの前に車を止めた。



「うん、ありがとね!!戸田さん♪」


あたしはニコッと笑顔を向けると、車から出ようとした。



――すると。



「わっ!!」



いきなり腕を引っ張られて戸田さんの胸に倒れ込む。



と、戸田さん!?



あたしは驚きを隠せずに、動揺していた。



「あ、あの〜…戸田さん…?」



戸田さんはあたしを抱き締めたまま、離そうとしない。



「………………」



「どうしたの…?」



あたしは小さく呟いた。



「……ごめん…なんか急に水樹の温もりが欲しくなった」



「へっ!?ぬ、温もり…?」



「うん」



あたしは頭の中がハテナマークだった。



ていうか恥ずかしい!!



あたしは恥ずかしさを隠す為に、戸田さんの胸に顔を埋めた。



「……ごめん水樹。もう少し…こうさせて」



戸田さんは抱き締めながら、あたしの髪を優しく撫でた。



「うん…あたしもこうしてたい」



あたしは無意識のうちに戸田さんの背中に腕を回していた。



優しく髪をすく戸田さんの仕草。


その柔らかい感触に凄く安心した。



< 232 / 324 >

この作品をシェア

pagetop