リフレイン
それからは、記憶がほぼ曖昧。
事件は無かった。
無くて良かった。
もしあったら、あたしきっと大変なことになってたに違いない。
ふらつく足取りで着いた場所は…
射撃訓練場。
そっか…
今仕事中だっけ?
あたしはフラフラと訓練場に入った。
「――あれ?水樹じゃん。美姫は?」
桐島ちゃんがあたしに声を掛ける。
だけど、それに答える気にもならない。
桐島ちゃんの問い掛けを無視し、位置に着く。
桐島ちゃんはあたしを不思議そうな目で見ていた。
そりゃそうだよね。
いつもウザイくらい、うるさいあたしがこんなに静かだったらさ。
「水樹」
訓練を始めようとしたら、桐島ちゃんがあたしの元へやって来た。
「ちょっと一緒に来いよ。そんな状態で訓練されても困る」
桐島ちゃんは鋭い目付きであたしを見るとあたしの腕を掴み、外へ出た。