リフレイン
――パタン…
桐島ちゃんに連れられて、射撃訓練場の近くにある自販機前のベンチに座らされた。
「どうしたって言うんだよ、いったい…」
「え…?」
桐島ちゃんは溜め息を吐きながら俯いた。
「らしくねーじゃん。いつもの強気な水樹はどこ行った?」
桐島ちゃんは足を組みながらあたしを見た。
「なんかあったんだろ?」
唐突に聞かれ、あたしは思わず黙り込んだ。
桐島ちゃんは昔からそうだ。
あたしが悩んでいると感じると、すぐに相談に乗ってくれる。
桐島ちゃんになら…
話してもいいかな。
「実はさ…戸田さんのことでちょっと色々あって…」
「戸田さん?何があった?」
「うん、あのね…」
あたしは一部始終を桐島ちゃんに話した。
すると桐島ちゃんは腕を組んだまま、難しい顔をした。
「美姫と戸田さんが…か…。」
「うん…」
あたしは俯いた。
あぁ、嫌だ。
美姫とはこじれちゃうし…
桐島ちゃんにはカッコ悪い所見られちゃうし。
「……美姫とは…話し合ったのか?」
「うん、でももう…あたしを応援することは出来ないって。自分も戸田さんのこと…好きだからって」
「好きだからって…美姫はお前と戸田さんが付き合ってること知ってるんだろ?なのになんで…」
桐島ちゃんは再び難しそうな顔をした。
「……あたしと戸田さんが付き合ってることが許せないのかもね。美姫はそうとう戸田さんのこと好きみたいだし」
あたしは苦笑いを溢した。
「なんだよ、それ…」
桐島ちゃんは少し呆れたような口調で言った。
「それって単にお前に対する嫉妬じゃないのか?自分が戸田さんと付き合えないから。」
「それは…そうかもだけど……」
「水樹は?美姫にちゃんと言いたいこと言ったのか?」
桐島ちゃんは立ち上がり、自販機にお金を入れた。