リフレイン

――パタン…



桐島ちゃんに連れられて、射撃訓練場の近くにある自販機前のベンチに座らされた。



「どうしたって言うんだよ、いったい…」



「え…?」



桐島ちゃんは溜め息を吐きながら俯いた。



「らしくねーじゃん。いつもの強気な水樹はどこ行った?」



桐島ちゃんは足を組みながらあたしを見た。



「なんかあったんだろ?」



唐突に聞かれ、あたしは思わず黙り込んだ。



桐島ちゃんは昔からそうだ。
あたしが悩んでいると感じると、すぐに相談に乗ってくれる。



桐島ちゃんになら…
話してもいいかな。



「実はさ…戸田さんのことでちょっと色々あって…」



「戸田さん?何があった?」



「うん、あのね…」



あたしは一部始終を桐島ちゃんに話した。



すると桐島ちゃんは腕を組んだまま、難しい顔をした。



「美姫と戸田さんが…か…。」



「うん…」



あたしは俯いた。



あぁ、嫌だ。



美姫とはこじれちゃうし…
桐島ちゃんにはカッコ悪い所見られちゃうし。



「……美姫とは…話し合ったのか?」



「うん、でももう…あたしを応援することは出来ないって。自分も戸田さんのこと…好きだからって」



「好きだからって…美姫はお前と戸田さんが付き合ってること知ってるんだろ?なのになんで…」



桐島ちゃんは再び難しそうな顔をした。



「……あたしと戸田さんが付き合ってることが許せないのかもね。美姫はそうとう戸田さんのこと好きみたいだし」



あたしは苦笑いを溢した。



「なんだよ、それ…」



桐島ちゃんは少し呆れたような口調で言った。



「それって単にお前に対する嫉妬じゃないのか?自分が戸田さんと付き合えないから。」



「それは…そうかもだけど……」



「水樹は?美姫にちゃんと言いたいこと言ったのか?」



桐島ちゃんは立ち上がり、自販機にお金を入れた。



< 248 / 324 >

この作品をシェア

pagetop