リフレイン
「あのね…あんまり大きな声で言えるようなことじゃないんだけど…」
「……もしかして…仕事関係?」
美姫は顔をしかめた。
あたしはコクン、と頷く。
「ったく…仕事関係のことなら、こんなとこで話すんじゃないわよ。誰に聞かれてるかも分からないのに…」
「あっ!!た、確かに…」
あたし達の仕事は、むやみに他人に教えて良いようなものじゃない。
時には人を射殺したりする事だってあるし……
「まぁいいわ。今日はあんまり人がいないし。あ、バーテンダーさん。これから話す話は流して?」
美姫は色目を使って言った。
「ふっ、かしこまりました。お待たせ致しました、ジンフィズです」
バーテンダーは微笑むと、あたし達にカクテルを差し出した。
「ありがと」
美姫はお礼を言う。
「――…で?どんな悩み?」
美姫はカクテルを一口飲んだ。
「うん…あのさ。SPって…あるじゃん?」
あたしは唐突に聞いた。
「えぇ、セキュリティポリス…要人警護官でしょ?SPがどうかしたの?」
美姫は不思議そうにあたしを見た。
「実はさ…あたし…本部からSPにならないかって誘われてるんだ」
「えっ!?水樹が…SP…に?」
あたしはコクン、と頷いた。
美姫は驚きを隠せないみたいで、目を見開いている。