リフレイン

「…わりぃ…もう抑えらんねぇわ」



「えっ…」




戸田さんのスーツからほのかに香る香水の匂いに凄く気持ちが落ち着いた。




「――…」




その瞬間、彼の唇とあたしの唇が重なった。
10秒くらい…かな?




「……君が好きだ、二宮さん…いや、……水樹。」




「えっ」




………あたしを…好き…?




戸田さんが?




「戸田さ…」




「初めて会った時からずっと見てた……君が初めてだったんだ。こんなに俺の中に入って来た子は」




戸田さんはあたしが知らない男の顔をしていた。




「……でも…あたし…」




あたしは再び俯いた。




「……何?」




「……実は…司令官にも告白されてて…」




「……司令官に?」




戸田さんは少し苛立ちを込めたような声を出した。





< 36 / 324 >

この作品をシェア

pagetop