不器用な僕たち
だから私は、単なるガセネタだって信じた。
記事の中にある『双方の事務所も交際を認めている』という一文を見ても。
突撃取材に対して涼ちゃんも来須ミクも、ともに交際を認めたという記者の話を読んでも……。
「……ガセだろ、これ」
咄嗟に買ってしまった、『ギャラップ』という名前のスクープ誌。
私はそのスクープ誌を買った帰り、そのまま雅人の家に行った。
不安で泣きそうになっている私とは逆に、雅人は驚くどころか、呆れたように記事を見ていた。
「やっぱり、ガセ……だよね?」
そう信じたくて、私は確かめるように雅人に訊く。
雅人は、スクープ誌をゴミのような扱いで部屋の隅にポンと投げ、「あたりまえだろ」と鼻で笑った。
「兄貴から何も聞いてねぇし。それに、兄貴の彼女はおまえだろ?」
「……うん」
「おまえさぁ、有名人の彼女なんだから、この程度のことでへこたれんなよ」