不器用な僕たち

「……嫌な天気」


東京の空は曇り空。

今にも雨が降り出しそうで、どんよりとした空は私の不安をいっそう掻き立てた。


大丈夫、きっと大丈夫。

なにかウラがあるんだ。

涼ちゃんの彼女は、来須ミクじゃなくて私なんだ。

不安で押しつぶされそうになる自分を、何度も励ます。


空港から涼ちゃんのマンションまでバスで向かう。

何度も観た、バスの車窓から見える景色はいつもと変わらない。



「……久しぶり」


涼ちゃんの部屋をノックすると、そこにはいつもの涼ちゃんの笑顔があった。

見た瞬間に、ほんの僅か残っていた私の不安は一気に吹き飛び、安心感に包まれる。


中に入ると、私はいつもと同じようにリビングの隅に自分の荷物を置く。

涼ちゃんはエスプレッソマシーンで淹れた、私の分のほろ苦いエスプレッソ・ラテをリビングのテーブルに置いた。


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