不器用な僕たち
◆涼 side◆
◆涼 side◆
雅人との電話を切ったあとパソコンをいじっていると、浩平が相変わらずインターホンも押さずに部屋に入って来た。
今では二児の父親となった浩平は、適当に挨拶をすると、冷蔵庫を勝手に物色し始める。
もう、すっかり慣れてしまって、僕はそんな浩平を注意することもなくなった。
「――……犯人はおまえだろ」
パソコンの画面に映し出されているのは、ベルマリの私設ファンサイトのBBS。
BBSの内容に目を通したまま、僕は浩平に訊いた。
「あ、バレた?」
浩平は悪びれた様子もなく、明るい声でそう言うと、僕の隣に立ち一緒になってBBSを眺めた。
BBSで盛り上がっている話題。
それは僕の過去……つまり、地元の女子高生と付き合っていたこと、今もなお、その子を思い続けていることが書き込まれていた。