不器用な僕たち
この話題を最初に提供したのは、『関係者』と名乗るやつ。
次いで、同調するかのように【あたしも聞いたことがある】と書き込んだ、『一人のファン』。
見た瞬間に、この二人が同一人物であること。
それが浩平であることはすぐに分かった。
「だいたい、千亜紀とのことを知っているのはおまえだけだったしな」
ふう、と、呆れたように溜息をつきながら浩平の顔をちらりと見る。
浩平はヘラヘラと笑っている。
「この書き込み、千亜紀ちゃんが見てくれるといいんだけどなぁ」
「……見るわけないよ」
「千亜紀ちゃんが見てくれることを祈って、書き込んだんだけどなぁ」
呑気に言う浩平に、僕は真顔で言った。
「……こんな下手な芝居しなくても良かったんだよ。俺、千亜紀に直接言うから」
「はっ!? マジで? なんて言うんだよ」
「それは内緒。……その前に、社長に許可をもらわないとな」