不器用な僕たち
千亜紀を守るつもりだったのに、逆に傷つけてしまった。
今さら、すべてを許してほしいとは思っていない。
僕にできることは、辛い思いをさせてしまった千亜紀を幸せにすること、ただそれだけ。
「なぁ、社長に許可ってなんだよ」
「……これも内緒。おまえ、すぐにファンサイトでバラすから」
「なんだよ~!」
鋭い突っ込みを入れると浩平は眉を八の字に下げて、すまなそうな、悔しそうな、どちらにも感じ取れる表情で僕を見た。
「まぁ、今度の地元でのライブを楽しみにしてくれよ」
「はあ!?」
浩平の素っ頓狂な声がおかしくて、僕は吹き出したあと、しばらくのあいだ笑い続けた。