不器用な僕たち
地元で行うライブ。
いつも空いている、最前列、中央の席。
ベルマリのファンサイトにも書いていたけれど、新曲が出るたびに、僕はその席だけを見つめて唄う。
たくさんのファンに申し訳ないと思いながらも。
新しく曲を書くたびに、千亜紀への思いを綴る。
常に深くなっていく僕の気持ちを、ライブに来るはずのない千亜紀に届けるために。
あの時は傷つけてごめん。
昔も今も、僕には千亜紀だけだから……。
――……でも、それも今度のライブで最後だ。
千亜紀に思いを告げること、「もう遅いんだ」と思い続けてきた。
だけど、そう思っているくせに、僕の心は千亜紀のもとに置かれたまま。
自分の思いを封じ込めたまま……、千亜紀を傷つけたまま……。
過去を振り返ってみて、このままじゃいけないんだと、思うようになっていた。