不器用な僕たち
やっぱり、私はまだ涼ちゃんを好きなんだ。
その思いは、あの頃よりもどんどん深いものになっている。
そのことに気づいたのは、本当に最近のことで。
私は、ベルマリのファンサイトを定期的に訪問する『涼のアンチファン』から卒業した。
涼ちゃんへの思いを断ち切ろうと、昔のように涼ちゃんの情報をかき集めることもやめた。
ベルマリのCD、DVD、雑誌の切り抜き……。
大切にクローゼットに保管していた、涼ちゃんに関する物。
全部全部、処分した。
「おっ、始まるぞ」
雅人の声で、我に返る。
瞬間、ブレーカーが落ちた時のような速さで場内の照明が消える。
ステージを照らす、ブルーの繊細な光はとても幻想的に見えた。
その光の中に最初に現れたのは、ボーカルを除いたベルマリのメンバー。