不器用な僕たち
◆雅人 side◆
◆雅人 side◆
「ねぇぇぇっ!雅人ってば!お願いだから!」
「うるせーよ、お前!付いてくんな!」
「いいって言うまで付きまとってやるっ!」
マジうるせぇぞ、この女!
ストーカー女から逃れるように、俺は家に飛び込み、大慌てでカギを閉めた。
さっきのストーカー女は、俺の幼なじみ・千亜紀。
家も隣同士で、物心ついた時から一緒にいる。
しつこいくらいに俺に付きまとう理由。
それは、俺と兄貴の部屋を交換しろという勝手な頼みごと。
千亜紀と俺の部屋は2階の奥に向かい合わせに配置されていた。
朝、部屋のカーテンを開けると……。
目の前には、先に起きて既にカーテンが開けられた千亜紀の部屋が広がっている。
千亜紀は兄貴のことが好きで、俺の部屋を兄貴が使えば、会いたい時にいつでも会えると目論んでいた。