不器用な僕たち
て言うか…。
俺はあの部屋が好きなんだよ。
兄貴の部屋より一畳分広いし、なんたってフローリングだからな。
俺と兄貴に部屋が割り当てられた時、兄貴はゴロゴロしたいからと言って迷わず和室を選び、俺は『オシャレだから』ただそれだけの理由で洋室を選んだ。
部屋割りを巡ってバトルになることを予測していた両親は、すんなりと決まったことで呆気に取られていた。
コンコンッ。
部屋に入ってしばらくすると、千亜紀がホウキの柄で俺の部屋の窓ガラスを軽く叩いてきた。
…うぜぇ。
俺は無表情でカーテンを閉める。
閉めてもなお、コンコンと窓を叩く音は延々と続く。
「てめぇ、うるせぇぞ!!」
キレた俺はカーテンと窓を開け、千亜紀に向かって怒鳴る。
「あ!やっと出てきてくれたっ」