不器用な僕たち
喧嘩腰になって、私は真剣に自分の思いをぶつける。
涼ちゃんの顔から笑みがスッと消え、私と同じように真剣な表情になる。
「千亜紀。きっとお前の気持ちは憧れみたいなもんだよ。そのうち千亜紀にも、年相応のいいヤツが現れるよ」
「……年相応って。好きな気持ちに年なんて関係ないよ」
「……きっといつか気付く時がくるよ」
初めて聞く、私の気持ちに対する涼ちゃんの返事。
ずっと涼ちゃんが抱いていた私への気持ちは、私がどれだけ思いをぶつけても揺らぐことはないんだ。
「……そうだね。そのうち気付くかもね」
「……うん」
私は気持ちを伝えることを止めて、隣り合わせの家の隙間から覗く夜空を眺めた。