不器用な僕たち
僕がどれだけ妹扱いしても、いつだって千亜紀は怯むことなくストレートに気持ちをぶつける。
いつも笑いながらだったから、僕は真剣に受け止めることができなかった。
「お客さん?携帯、鳴ってるよ?」
「えっ?あ、あぁ、ありがとうございます」
思い出に浸って携帯が鳴っていることにさえ気付かなかった僕は、慌てて携帯を取った。
「もしもし?」
『涼ちゃん!』
「千亜紀!?おまえ、学校は…」
『休み時間!涼ちゃん、もう空港?』
「いや、向かっているところだよ」
そう言うと、千亜紀は急に静かになった。
僕が「千亜紀?」と呼びかけると、ようやく話し始める。