不器用な僕たち
◆雅人 side◆
◆雅人 side◆
マジで信じらんねぇ。
兄貴も、千亜紀も、俺の親も、千亜紀の親も!
苛立ちがピークに達した俺は、台風が近づいているわけでもないのに自分の部屋の雨戸を閉めた。
まだ真昼間で、外は焼け付くような強い陽射し。
薄暗い部屋の中。煌々と照らされる灯りの下で、ふて腐れたように大の字に寝転がった。
『許可が出たのよ、東京行き!』
夏休みの真っ只中。
俺の家にはさっきまで千亜紀が来ていた。
大はしゃぎしながら千亜紀が報告してきたのは、夏休みの東京行き。
つまり、兄貴のいる東京に遊びに行くということだ。
兄貴が事前に双方の親に電話したらしく、俺と千亜紀の親は揃って「涼ちゃんがいれば安心ね」と太鼓判を何重にも押して、千亜紀の東京行きを許可した。
反対しているのは俺一人だ。