不器用な僕たち
――…バーカ。お前が頭悪いだけだろうが。
恋は盲目って聞くけど、こいつの場合は頭の思考回路まで完全にストップしてるし。
盲目どころか、脳の機能まで停止しているんだから、救いようがねぇぞ。
千亜紀はすんなりと俺の東京行きを認めてくれ、そして、俺たちは2人揃って兄貴のいる東京へと発った。
初めての東京は人が多すぎて、慣れていない俺と千亜紀は眩暈さえも起こしそうになった。
空港には兄貴が迎えに来てくれていて、千亜紀は兄貴を見るなり号泣してしまった。
「涼ちゃん!会いたかったよ!」
「おい、千亜紀、泣くなよ」
2人に見せ付けられて、俺は鳥肌が立つくらい恥ずかしくなった。
おいおい、ここは空港だぞ。
兄貴、まだデビュー前とはいえ、それはマズイだろう!
「兄貴、疲れたから早く連れて行ってよ」
「お、そうだな。じゃ、行こうか」