不器用な僕たち
空港ロビーを出て、タクシーに乗る。
兄貴は事務所が借りているマンションに住んでいた。
ベルマリのメンバーも同じマンションに住んでいて、全員、同じ階だった。
千亜紀に邪魔者扱いされている俺は、浩平くんの部屋にでも転がり込むしかねぇな。
「ここが俺の部屋」
マンションに着いてビックリした。
まだ売れるか売れないか分からないミュージシャンなのに、住んでいる所は高級マンションだった。
「すごっ……」
無駄に広い部屋の間取りは3LDK。
兄貴1人の部屋なのに、3部屋も必要あるのかと思った。
一部屋ずつ見て回ると、案の定、二部屋は家具ひとつ置いておらず、がらんとしていた。
「何もないけど、千亜紀と雅人、一部屋ずつ使っていいぞ」