不器用な僕たち
「うわっ!ベルマリだよ!これ、すっごいいいんだよね!」
大きな声で言いながら、千亜紀はCDを俺に見せる。
「へっ?」ときょとんとしている俺を、「ほら、早く!」と千亜紀は睨みつける。
「あ、あぁ!ベルマリっていいよなぁ。俺、買ったぞ?」
「本当?じゃあ私も買っちゃお!」
「えっ……?」
ベルマリのCDを取ると、千亜紀は軽快な足取りでレジへと向かう。
おいおいおいおい………。
おまえ、何枚買えば気が済むんだよ。
ベルマリのCD発売当日。
千亜紀は小遣いはたいて20枚近く買っていた。
俺と千亜紀の親はそれぞれ10枚ずつ。
…ったく、どこまで身内バカなんだよと呆れていた俺も気付けば5枚買っていた。