不器用な僕たち

「…ベルマリ?聞いたことないね」



千亜紀の宣伝効果なのか、すぐ近くにいた高校生らしきカップルがベルマリのCDを手にする。


買え!買うんだ、お前ら!


俺の願いが通じたのか、カップルは「シングルだし、安いしね」と言って、彼氏と彼女1枚ずつ手にしてレジに向かって行った。


いったいどれだけの売上げになったのかなんて分からない。

でも、ライブが成功すれば、きっとベルマリは全国区になる。


そんな期待を抱いて、俺は千亜紀と共に店を出た。

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