不器用な僕たち
ライブが終わって、メンバー全員が住んでいるマンションまでの道のり。
僕たちは一言も話をしなかった。
真っ暗な道を、ただ黙々と歩き続ける。
「まぁ、なんだな…。これでベルマリは怖いもんなしってことになったな」
重苦しい空気を壊すように、浩平が笑って言う。
「そうだよな。デビューライブの動員数ゼロなんて貴重だぜ?」
「いつか、『えっ!そんなに人気なかったんですか?』なんて言われるはず」
「ははっ。無人のライブ、写真に撮っておけばよかった」
渇ききった、上辺だけの笑い声。
無感情でも笑ってないと、やってられなかった。
きっと、ここにいる4人全員がショックを受けている。
分かっている、分かっていたことだった。
だけどさ……。
あまりにも、現実ってものは辛すぎる。