不器用な僕たち
寝室に入り、崩れるようにして床に座り込む。
無人のライブハウス。
その中で懸命に演奏するベルマリ。
失望したような、心配しているような、いまいち様子を掴みきれない関係者。
すべてがフラッシュバックする。
笑い話どころか、トラウマになりそうだ。
「…涼ちゃん…」
数回ドアをノックした後に、千亜紀が静かに呼びかける。
「うん?」
「どうかした?」
「…いや…別に…」
そう言った後、ドアがゆっくりと開く。
半開きのドアの向こうには、千亜紀が心配そうな顔をして僕をじっと見ていた。
「ライブ……」