不器用な僕たち

◇千亜紀 side◇



   ◇千亜紀 side◇


「おうっ、千亜紀!兄貴たちの2nd、『ナイトイーグル』のエンディングに決まったらしいぞ」

「…知ってるよ。涼ちゃんから聞いた」

「なんだ、知ってたのかよ」



デビューライブから3ヶ月たった秋の終わり。

ベルマリの2ndシングルが、地元のローカルテレビの深夜番組『ナイトイーグル』のエンディングテーマに起用された。


マネージャーの望月さんが、まずは地元を完全制覇させようとテレビ局に何度も足を運び、とりあえず1ヶ月限定という条件付きでベルマリの曲が流れることになった。


平日の深夜の情報番組。

視聴者の数なんて高が知れているし、1ヶ月という短い期間限定。

それでも、番組のエンディングテーマに起用されるということは一歩前に踏み出したということになる。


そこから広がる道を予測して、ベルマリはシングルを3ヶ月連続リリース、その後に1stアルバムという計画を組まれた。


目が回るような忙しさの合間を縫って、涼ちゃんは度々、近況を知らせてくれるようになった。

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