不器用な僕たち
◆雅人 side◆
◆雅人 side◆
うぜぇ……。
マジで、うぜぇよ。
有名人になったのは兄貴の方だろう?
俺と千亜紀は、普通の一般人だぞ?
「……雅人…」
「……あぁ……」
それなのに。
何で俺たちまでもが追っかけに遭うんだよ。
学校の登下校、前後左右に突き刺さるような視線を感じる。
家の周りには、普段、見たこともない若い女が数人ウロウロしている。
「…ダッシュで逃げるしかないよね?」
「そうだな」
学校からの帰り道。のんびり歩いていた俺と千亜紀は二手に分かれ、猛ダッシュでそれぞれの家に向かった。