不器用な僕たち
兄貴が「おい!」と声を掛けたけれど、俺は一方的に電話を切った。
おもしれぇな。
好きなら好きって、はっきり言えばいいのに。
本当に自分の気持ちに気付いていないのか?
それなら鈍感にも程があるぞ。
――コンコン……
窓をノックする音が聞こえて、カーテンを開ける。
窓の向こうには制服姿の千亜紀が立っていた。
「なんだ、今帰ってきたのか?」
「うん。ずっと追っかけられてた」
疲れきった様子で、千亜紀はセーラー服のタイをほどく。
「なぁ千亜紀。兄貴とはどうなってんだよ」
「……えっ!?」