不器用な僕たち
千亜紀を好きだという自分の気持ち。
思えば、その兆候はずいぶんと前から日常的に出ていたんだ。
学校ではいつも千亜紀の姿を探していた。
千亜紀が他の男と話をしているのを見ると、後になって必ず「今日、○○と話していただろ?付き合ってんのか?」なんてカマかけて会話の内容を聞き出していた。
それを俺はいつも、兄貴と千亜紀の仲を取り持つために、千亜紀に悪い虫がつかないようにという老婆心からだと信じて疑わなかった。
けど……。
兄貴と千亜紀がいい感じになっている様子を感じ取ると、心のどこかで苛立っている自分がいる。
「まーさとっ!」
そんな俺の気持ちなんて知りもしない千亜紀は、俺を男としてこれっぽっちも意識していなくて、いつものように体を密着させてくるんだ。
「おまえ、くっつくなよ」
「えー?どうしたのよ、急に」
「……ウザイから」