不器用な僕たち
ただならぬ様子の望月さんに嫌な予感がする。
「さっき、弟さんから電話があって」
「雅人から?」
「幼馴染の女の子…、名前なんだっけ…、えぇと……」
「千亜紀…」
「そう、千亜紀ちゃん!彼女が事故に遭ったって…!」
『マリー』がいなくなるのは、不吉なことが起こる前兆。
だからと言って、こんなにも酷いことはないだろう?
「……容態は…」
「意識不明の重体だそうだ」
意識不明の重体……。
僕の体は、まるでセメントで固められたみたいに身動きひとつできなかった。
メンバーの息を呑む音だけが、静まり返った控え室に響いた。