不器用な僕たち
◇千亜紀 side◇
◇千亜紀 side◇
「バカかっ!お前は!赤信号を堂々と渡るバカがどこにいるんだよ!」
「……ごめんなさい…」
ICUから一般病棟に移されたその日。
まだ体中がズキズキと痛むのに、雅人は容赦なく説教する。
車に撥ねられたのなんて生まれて初めてで、ギブスで固定された足、腕の傷を見ると、撥ねられた瞬間を思い出してゾッとした。
信号…赤だったんだ。
さっさと先に行く雅人を追いかけるのに夢中で、全然気付かなかった。
沈む私を見て、雅人は急に真面目な顔つきになる。
「いや、俺が悪いんだな。俺が信号赤だったのに渡ったから」
「はあ!?雅人も赤信号で渡ったの?人のこと言えないじゃない!」
「あーもうっ、うるせぇよ」
撥ねられた瞬間に意識を失くして、次に目が覚めた時はベッドの上だった。
目が覚めた私を見て、お母さんは涙をポロポロこぼしていた。