秘密のフィアンセ☆
「もう、バカだ~!」


授業はとっくに始まったのに、忘れ物をした私は、教室まで取りに走っている。


理科の実験室から教室までは、けっこう距離があるんだよね。


ずっと、あの男の事を考えていたら、すっかり授業の事が抜けてしまっていた。


それにしても、授業中の廊下は、不気味なくらい静かだ。


昼間とはいえ、何となく薄気味悪い。


「早く戻ろう」


と、その時だった。


「由奈さん」


後ろから、智久の声がした。


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