子うさぎのお世話
ずっとずっと…
恋い焦がれてきた女の子が
今、自分の腕の中にいる。
目の前にある雪兎の真っ白な首筋に…思わず吸い寄せられるように顔を埋めて
まるで花のように甘やかなその香りを吸い込んだ。
首筋にあたる髪の感触がくすぐったいのか、雪兎が少し身じろぎする。
「…本物のうさだ……。」
思わずといった感じで感極まったつぶやきが洩れた。
「…時春……。」
高く可愛らしい雪兎の声。
ずっとずっと、聞きたかった。
俺の名前を呼ぶ声。
あぁ…帰って来たんだ――
「…もう、遠慮しねぇぞ…。」
――――藤間時春(トウマトキハル)。16歳。
自分の思いがどれだけ強くて深いか…
今はまだ、可愛い雪兎の為に
――――隠しておいてやるよ。