子うさぎのお世話
「何なのよ…っ!?」
高遠アンナは苛立ちを隠せないでいた。
原因は…憎らしいくらいに愛らしい…クラスメートの真白雪兎。
たいして喋りもしないくせに、いつの間にかクラスのまとめ役であり先生の信頼も厚い五十嵐棗と仲良くなっていて…。
バカな男子からは美少女だとちやほや騒ぎ立てられる。
自分がどれだけ努力をした訳でもありはしないくせに……!!
可愛いだけで愛されて守られる存在。
ちょっといじめてやろうと思ったのに…
あのなんでも見透かすような大きな目で見られて、何も出来ずに怯んでしまった……!
何がムカつくって、仕草ひとつで本気で可愛い!なんて思っちゃって…!
そんな自分にもひどく腹が立った。
「絶対に痛い目あわせてやるんだから…!」
何をしたらあの子は驚くかしら…?
眉間にしわを寄せて考える……
「うさた~ん!ナツ~!」
「………。」
「うるさいのが来た~。」
「……ハル!」
「うさた~ん…。アキもいるでしょ~…。」
珍しいくらいに嬉しげに笑う雪兎の前にいる……ひときわ人目を惹く美形。
アンナのグロスのひかれた艶やかな唇がニィと弓を描く。
「藤間…時春……ねぇ……。」