子うさぎのお世話
「うさ~、帰っておいで~。」
「………!」
棗の声にハッと呼び戻されて、
「は…っ、ハル…っ!」
雪兎は時春にガシリとしがみつく。
「……っ。」
時春は思わず渋い顔で目線をそらす。
「行け…っ!うさたん!麗しの孤高の狼は君にかかってる~~っ!」
秋良の応援を背後に背負い……
時春の制服の裾をちんまり握り…
うるうるの上目遣いで顔を見上げ…
「ナツぅ…狼様が何分で落ちるか賭ける?」
「…何秒でしょ?賭けになんないし。」
棗と秋良の会話なんて聞こえていない雪兎はただただ時春の狼姿が見たい一心で必死に口を開いた。
「わたし……ハルの狼さん…みたい…!」
必死で一言。
「……わかった。」
その瞬間、雪兎は満面の笑顔を浮かべて時春にぎゅうっと抱きついた。
時春は、はぁ…とため息をつきつついつものように優しく雪兎を抱き上げる。
後ろでは秋良が歓喜にはしゃぎ、棗はニヤリと笑い『うさ最強』とつぶやいていた。
いつだって孤高の狼様の弱点は、
可愛い可愛い……子うさぎちゃん。