子うさぎのお世話
「ハル…!うさたんの事情も聞いて…」
「うるさい。」
雪兎を弁護しようとしてくれる秋良の言葉もピシャリと一蹴し…時春はますます険しい顔になってくる。
雪兎はひらひらしたスカートの裾をギュッと握りしめた。
どうして時春はこんなにも怒るのだろう…
(ハルだって…、ハルだって…っ!)
「とにかく、すぐに着替えて……うさ?」
雪兎はうつむいていた顔をキッと上げた。
「……!?」
いつにない雪兎の表情に、時春は驚いた顔をした。
「…ハルだって…、そんなかっこしてるもんっ!」
「…っ!…これは…っおまえが…!」
そうだ。
確かに雪兎は時春の狼執事をものすっごく楽しみにしてた。
でも……!
「お…っ、女の子にきゃあきゃあ言われてるもん…っ!!」
「………え?」
「………!!…ぁ…」
(言っちゃった……!!)
時春がポカンとした顔で雪兎を見ている。
絶対…呆れてる……!
「………っ!!」
恥ずかしくていたたまれなくて……
雪兎は真っ赤な顔をして、ウサ耳のことも忘れてその場から逃げ出した。
「…うさ…!!」
時春の声がしたけど振り向かずにひたすら走っていた。