子うさぎのお世話
後に残された時春と秋良は、まさに脱兎のごとく走り去った雪兎が消えていった方向をぼんやりと見つめていた。
思い返す雪兎の顔は、真っ赤な顔で目に涙をいっぱい溜めて……
ふるふる震えながら必死に…明らかにやきもちを妬いているセリフ………。
「……あー…、ごめん…ハル。
俺、萌え死にそう~~!」
「…許したくねぇけど…同意見だよ……。」
時春はおもむろに自分の着けている耳としっぽを引きとると、秋良にそれを押し付けた。
「……この借りは返す。」
「……!
はいはい♪あんまり遅れんなよ~?狼様、大人気なんだからさっ!」
秋良は受け取った耳としっぽをくるりと回し、にんまり笑った。
時春は一瞬嫌な顔をして……
「……助かる。…アキ。」
「………!!」
そしてそのまま雪兎が消えた方へと走り出した。
「さぁっすが…うさたん…。
俺初めてアキなんて呼ばれた~…。」
秋良は呆けたようにつぶやくと、狼様の抜けた穴を埋めるためにカフェへと帰って行った。
「ったく!来栖も休憩行ったから俺二人分じゃんっ!」
「篠崎なににやけてんの??」
「べっつにぃ?…さて、借りはなんで返してもらおーかなぁ♪」
でも何だかちょっと、…いい気分で。