子うさぎのお世話




「…うさ…っ!!」



「………!?」



振り向くと…ハァハァと息を切らせた時春が、執事姿のままで立っていた。



よく見ると…耳としっぽはなくなっていたけど……。



「……うさ…」



「………!!」



ハッとして雪兎は思わず貯水槽の裏に隠れこんでしまった。



「あ…っ!おい…っ!?」



時春が慌てた声を上げて駆け寄ってくる。



「……っ!」



雪兎は更に反対側に逃げ込んだ。



まるで追いかけっこのようにくるくると時春から逃げ回る。




「…っ!こら…!うさ!」



「あ…!」



時春の伸ばした腕が雪兎の手を掴む。



「…や…っ!!」



「………っ!?」



雪兎は思わずその手を振り払っていた……。



大好きな時春の手を振り払う…そんな事は初めてだった。



時春は目を見開いて…ショックを受けたように呆然と立っていた。





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