子うさぎのお世話
文化祭最終日と予期せぬ再会
「あ~あ…。お祭り気分も今日で終わりかぁ~…」
可愛い白くて長いしっぽを手でくるくると振りながら秋良は机に突っ伏した。
「なにダレてんのよ…。今日は一般にも開放されるんだから忙しいのよ!」
棗は秋良の後ろ頭をパンっと叩いて呆れ気味に言った。
雪兎は今日も休んだ相川留実の変わりにメイド服で接客係をしている。
時春は雪兎のクラスの事情を聞いてしぶしぶながらもわかってくれた。
「じゃあ最後にぃー…、…うさたんっ!
君の可愛いすぎるメイドちゃんとも今日でお別れだ…っ!」
「……??」
妙に息巻く秋良に雪兎は訳がわからずキョトンと首をかしげた。
「最後に…っ!『御主人様!大好き』って感じに……」
――――スパーンッ!!
「いったぁ~~っ!!?」
秋良がみなまで言い終わる前に棗の上靴が秋良の頭に見事にヒットした。
「うさ~。このバカの言うことはなんっっにも!聞かなくていいからね~?」
棗はひきつった笑顔で雪兎の頭を撫でながら、もう一発秋良の頭に気合いを入れていた……。
「だいじょうぶ。わたしの御主人様はハルだから。」
「「………!!!」」
雪兎の爆弾に全員が一斉に振り向いた。
「う…うさたん…っ?それって…どういう……?」
秋良が口の端をヒクリとひきつらせながら恐る恐る雪兎に聞くと…
「……??
ハルはご主人様だからハルにならご奉仕す……ムグ…っ」
「うさ、それは言わなくていい…っ」
時春は素早く雪兎の口を塞ぎ、心なしか焦っている。
「ハルぅーーっ!!おまえ…っ!無垢なうさたんに何してんだよぉーーーっ!!?」
秋良の悲痛な雄叫びが賑やかな教室に響き渡った。
「………??」
当の本人はというと……
(肩揉みしただけであきは大げさだなぁ…。)
…なんて、一人暢気に首をかしげていた。