子うさぎのお世話
「……まぁそれよりも。貧血の原因だけど、寝不足みたいだよね?何か心あたりがあったりしないかな…?」


寝不足の…原因……。


「………っ!!」


ソレが思い当たった雪兎は微かに動揺し、ほんの少し白い頬を染める。


「………!」


その雪兎の反応に英彰は微かに笑顔をピクリと強ばらせた。



―――バン…ッ!!


「……うさ…っ!!」


「………!!」


英彰が言葉を出す前に息を切らせた時春が普段にない青ざめた顔で飛び込んできた。


よほど急いで来たのか…彼の美しい黒髪が乱れていた。


「……ハル…」


「やぁ、時春…。保健室に入る時は静かにね?…大丈夫。雪兎ちゃんはただの貧血だから。寝ていればよくなるよ」


その言葉を聞いた時春は幾分ほっとしたようだった。


「……うさ。大丈夫か…?」


優しく雪兎の頬にそっと手をおいて、心配そうに顔を覗き込んだ。



「大丈夫だよ。寝たら治る」


雪兎は心配そうにしている時春にむかってにっこりと微笑んだ。






その光景を背後から……英彰は冷めた表情で見ていた。

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