子うさぎのお世話
「あんたはなんにもわかってないわね……?」


棗はこの男をもう一ミリたりとも先生だなんて思っていなかった。


自分勝手なだけの男……。


慈しむように雪兎を包む時春とは比べものにもならない。


「結局、うさを綺麗なだけのお人形さんとして欲しいんだわ…。あの子をあんまり見くびらないことね?あなたが思っている以上に強いから…!」


「…………」


英彰はただ黙って棗の言葉を聞いていた。


棗はそれだけ言うと、倒してしまった百合を抱え…


ペコリと頭を下げて保健室を後にした。








「ごめんね……。おまえに罪はないのに……」


くたびれた百合を見てジワリと涙が浮かんだ。


悔しくてたまらなかった。


あの二人はお互いが必要なのよ……!!


あんな二人は見ていられない………。


好きすぎて、好きすぎて……お互いのことしか考えられなくて……。


自分の気持ちを置き去りにしている……。



それはきっと同じ気持ちだろうのに………!








「…………ナツ」


「…………っ!?」



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