子うさぎのお世話
「うさちゃんの彼氏、イケメンだよね~。」
移動教室までの道すがら、棗のいきなりなセリフに雪兎はあたふたと動揺した。
「…か、彼氏ってゆうか…」
ゴニョゴニョ言いながら、雪兎の白い肌は見るまに赤く染まった。
「違うの?」
棗は驚いた顔で雪兎を覗き込む。
「幼なじみ…。」
ハルと恋人同士にぜひなりたい雪兎だが、二人はそんな仲ではない…。
――――『うさのことばっか考えて生きてきたよ…。』
ふいに時春の言葉が頭を過り、心臓がバクっと跳びはねた。
でも、決定的な何かを言われた訳じゃないんだから…
自惚れは良くないな…。
口数は少ないけれど、根が素直な雪兎は考えていることが顔によくでる。
本人は気付いてないけれど…
一人百面相な雪兎を棗は面白そうに眺めていた。