子うさぎのお世話
「…ふぅん。幼なじみか~。」
うんと、頷いた雪兎の顔は真っ赤だった。
「…わかりやす…っ」
棗は小声で呟いて、くくくっと笑った。
入学早々、こんなに可愛い子と友達になれたのはラッキーだ!…と棗は思った。
教室の机に座る雪兎は、全校生徒を見渡しても飛び抜けた美少女っぷりだった。
棗は可愛い女の子が大好きだ。
男兄弟に囲まれて育ったせいか、小さくか弱そうな存在を見ると守ってやらなきゃと思う。
決してソッチの趣味はないけれど!
好き勝手に囁かれる噂に小さくなっていた雪兎を見たら放っておけなくて…
何故かバックに詰められていたうさぎのパペットを持って(どうやら寝ぼけて詰めたらしい)話しかけていた。
気づけば恐ろしいほどの美少女っぷりなのに、すれたとこのない雪兎にノックアウトされていたのだ。
彼女はあのイケメン幼なじみが好きらしい…。
あのイケメン幼なじみも大した美形っぷりだった。
二人が並ぶとその空間だけ別世界みたいだった。
しかも
雪兎は気付いてないようだけど…
あのイケメンが雪兎を見つめる目はヤバいって!
好きでたまんないのがだだもれだって…
赤の他人が気付いてるのに
(まぁ…鈍そうだよね…。)
棗は気の毒なイケメン幼なじみに、ファイト!と心の中でエールを送るのだった。