子うさぎのお世話
『……うさ!』
10年ぶりの時春の声を雪兎は一生忘れないだろうと思う。
溢れだすような…嬉しさ、恋しさ、連絡すらろくに寄越さない時春に対する怒り…
そして…何とも言えない切なさ。
刷り込みにも似た幼かった恋情は
再会と同時にはっきりとした恋心になった瞬間だった。
(あぁ…やっぱりハルが好き……。)
幼かった頃にはわからなかった…抱きしめられた時の胸の高鳴りや締め付けられるほどのきゅうんとした甘い痛み…。
雪兎のすべてが時春を好きだと叫んでるみたいで……
――――自分は時春に2度恋をしたんだと、雪兎は思った。