子うさぎのお世話
――――コンコン
タイミングよくドアがノックされ、
「うさ、飯出来たぞ。」
ドアの向こうから時春の声がした。
はぁいと返事を返して急いで部屋を出る。
「ハル、ハルっ。今日のご飯なぁに?」
わくわくしながらたずねると、時春は優しく笑って
「おまえの好きなハンバーグ。」
そう言って優しく頭を撫でてくれる。
「ハルのハンバーグ大好きっ。…あ!他のもなんでも大好きだけどねっ?」
時春の作ってくれる料理はなんでも美味しいのだ。
雪兎はニコニコ笑って時春の手をとった。
「いつもより少し遅くなったから腹減っただろ?」
「うん。でもみんなで出かけて楽しかった。」
そう言うと、ほんの少し時春の顔が曇った。
どうやらまだ海での出来事を気にしているらしい…。
「ハル…わたし、大丈夫だよ…?」
元気のない時春が心配で、長身の彼を見上げ爪先立ちに背伸びをすると…そうっと時春の頬に手を伸ばした。
触れた瞬間ピクリと反応をしたけど…時春は黙って雪兎の好きにさせた。
「…恐い思いさせて、ごめんな。もっとずっとうさの側についていれば…」
時春の綺麗な顔に後悔が滲む。
雪兎はふるふると首を振って
「恐くなんてないよ。わたしにはハルがついてるから…ただ、ハルじゃない人に見られるのがいやだったの…。」
大切な親友の棗をあんな目で見られるのもいやだったと言って、
雪兎はじっと時春に視線を向けた。