月と太陽

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三ヶ月前、神野は『仕事』で関西にいた。
新興暴力団幹部の射殺。
難しい仕事ではなかった。チンピラの頭を指定の拳銃で指定の時間に撃ち抜く。それだけ。

しかし予期せぬ事態が起きた。
当日、目の前に現れたのはターゲットではなく金髪の若者だった。
見覚えはある。普段ターゲットの斜め後ろにくっついて歩いていた金髪だ。

金髪の他には誰もいない。


指定時間の三分前、神野は『仕事』の失敗を直感した。
幸い金髪と顔を合わせたわけでないので、気付かれる前に立ち去ることにした。
神野は踵を返すと、静かに来た道を戻り始めた。

瞬間━

「あまいよアンタ…へへ」

右足の付け根に鈍痛を感じた。
背中に密着する人間も感じた。
首だけで振り返る。
右の肩越しに金髪と色の消えたような目。

金髪の若者は一瞬でその距離を詰め、そして神野の右足の付け根に小型のサバイバルナイフを突き刺した。



パスッ━

「あまいのはお互い様か?」

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