月と太陽
里果の即答に、ちょっ!!と立ち上がった萌乃をスルーして、
「美月ちゃん本当に綺麗な黒髪よね。」
と美月の髪をサラサラと優しく撫でる。
「うちの本業のモデルやってよ。背も高いし顔立ちも綺麗だし顔も小さいし、なにより手足が長いし。凄いモデル向きだと思うんだけど。」
「こんな眼光のモデルいたら怖いと思うけど!」
ケタケタと笑いながらリリが言うと、
「そこがまたいいんじゃない。大きくてどこまでも切れ長で憂いのあるこの目!」
里果はまるで彫刻や絵画を理屈立てる専門家のようにキラキラとした目で早口にまくし立てた。
里果さん『憂い』をちゃんと広辞苑した方がいいよ、とリリはパンケーキをカットしながら言った。
美月は無表情に二人のやり取りを聞き流し、細かくカットしたパンケーキを口へ運ぶ。
「え、里果さんあたしやってもいいよ?」
様子を伺っていた萌乃がここぞと発言をした。