月と太陽
「え、アールグレイあたしも好きだけど?」
萌乃が割り込んできた。左側半分が黒、右側半分ピンクのロングヘアは彼女の何かしらのポリシーらしい。
「アールグレイの話がどうとか、そうゆう話じゃないのよ!
それよりもこの、これ、もう…どうすんのよ…」
可那が目を細くしてうなだれながら広げた白いコートの赤茶色い染みに問いかける。
「買えばよくない?」
左手にティーカップを持った美月が言う。
バッサリと横一線に切り揃えた前髪が、彼女の大きな目の冷たさを助長している。
「はぁ!?これはもう売ってないわけ!あたしがこれを買うためにどれだけ…
だいたいね、すぐ水洗いするとか、クリーニングに走るとか!色々方法はあるでしょ!!
『アールグレイだよウフフ。』
ていう反応おかしいじゃない!!
せめて謝るとかそうゆうこと出来ないわけ!?
あんたはチェリーブロッサムでも飲んでなさい!」
ショートヘアのワンレンの前髪を振り乱しながら可那は訴える。
「可那ちゃんの美月の真似て、ほんっっとに似てないよね!
そうゆうとこチョーかわいー」
言いながら萌乃が可那の前髪を、「よしよし」と撫でつけた。