月と太陽

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「誰かいらっしゃるのですか?」

半年前の日曜日の朝、食卓に並ぶ食器の数が多いことに気付いた長女が父親の顔を見た。

「パパ結婚をするんだ。」

普段よりも張りと緊張感のある声で父親が娘達に告げた。

一瞬の沈黙。一瞬の長い長い沈黙。
音も光も届かない深海で、突如爆音を聞かされた後のような沈黙。静寂。

その沈黙を、おめでとー!
と、破ったのはまだ結婚の意味を知らない四女で、
長女と次女はただ目を見開くだけだった。

父親は目を見開く長女と次女の言葉を待たずに『長谷川』と言った。

父親の真向かいの大きな扉に立つ長谷川と呼ばれた執事は、その大きな扉を開き小声で夕紀と小さな女の子を迎え入れた。



そうして夕紀は父親の三人の娘達の母親となり、末の三女は四女になり、父親と三人の姉妹だった家族は父親と母親と四人の姉妹になった。

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