月と太陽
長女か次女どちらかが帰宅すれば、四女が呼ばれる。
今この瞬間まで本当に仲の良い姉妹のようだった三女と四女の時間が終わる。
「お姉ちゃんも行こ」
最初の頃は四女は三女を誘っていた。
三女も緊張しながら四女に続く。
しかし長女も次女も三女とは話さない。
いつの頃からか三女は四女の誘いを「いってらっしゃい」と笑顔で受け流すようになった。
今では長女か次女に呼ばれた四女は「いってきまーす」と三女が口を開くより先に言うようになった。
長女と次女が話をしないのは夕紀に対しても同じだった。
懇談会や面談などの最低限の連絡事項だけは長女も次女も行っていたが、それ以外は話さない。目も合わさない。
「多感な時期だ。頑張ってくれ。」
その使い古された言葉が父親の毎回の答えだった。